子どもたちの原風景

石岡市立 やさと中央保育所

2011年日事連建築賞奨励賞
第24回茨城建築文化賞議会議長賞

子どもたちの原風景となる施設づくり

石岡市の柿岡地区は、地域のシンボルである筑波山の裾野に位置する。
建設地は、柿岡城址として歴史性の高い場所にあると共に、筑波山や加波山など山々を望み、近くには、八坂神社、丸山古墳群、屋敷林の緑など、自然と歴史性に富んだ場所である。この「歴史的な街の原型」や「周囲に広がる豊かな山容」を施設つくりの拠り所とすることで保育所としての象徴性を創出し、子どもたちの原風景となることを願って計画した。

配置についての考え方

周囲には柿岡小学校や高齢者センター、善慶寺など既存施設が隣接していることから空間の共有できる施設作りを考えた。
既存の高齢者センターとは中庭を介した配置とすることで異世代交流を促している。また、メインアプローチを柿岡小学校のある東側とすることで全体として世代を超えた交流がしやすい環境とした。

平面構成について

施設は、子どもたちにとっての「いえ」である保育室、「ひろば」である遊戯室、これらを「なかのみち」によって有機的に連携させることで施設全体の一体感を図り、豊かな生活環境を創出した。この「なかのみち」は、園児の交流、展示の場であり、そこを通して地域のシンボルでもある筑波山を望むことのできる場でもある。
保育室の前の緩やかにラウンドさせた「そとのみち」には、奥行きのある庇の掛かったテラスを設け、地域の伝統的な民家の佇まいを取り入れ、内外空間の一体化を図り、園全体を包んだ。職員室からは、アプローチ部分、園庭への管理視線を確保するだけでなく、保育室をラウンドさせたことによって各室へ視線を配ることができる。
遊戯室と廊下の間仕切りは可動式とすることで、廊下も含めた大空間として使用することができ、入園式、お遊戯会など、さまざまな用途に対応することができる。

南側外観

南側外観

「そとのみち」

「そとのみち」

東側から望む

東側から望む

配置図

地球環境保護について

地域に吹く風の読み取りや自然光の導入など、自然力を利用して快適な環境を創出した。施設は、木造とすることで木の特性を活かし、温もりが感じられる保育所とするだけでなく、木材の炭素貯蔵効果によるCO2排出量の削減効果も視野に入れている。また、木材は県産材を使用した。
中央の「なかのみち」は、温度差による上昇気流を利用した換気や、暗くなりがちな中廊下へ光を導く空間として機能している。

構造のポイント  - 緩やかな曲線屋根を実現させた自由な角度設定が可能な接合金物

周囲の町並みに合わせた、緩やかな曲線を描く大きな屋根に、この保育所の特徴がある。
登り梁をひとつひとつ勾配の異なった物にしながら、すべて同じピッチで配置する事で、 美しい曲線が完成した。これは接合金物により自由な角度設定が可能なKES構法の特徴でもある。
「なかのみち」の天井では、方杖を意匠的に用いることで、日本建築の特徴である「構造美」を表現。 また、上部の開口部分はトラスで支えられ、その隙間に三角形の開口を設けることで、空間に一味違った表情をつくりだした。
各保健室の園庭側の入口は木製ブレースを現しで使用し、木のぬくもり溢れる空間をつくりあげた。 さらに、保育室からテラスまで一本の梁で構成しており、テラスの庇(奥行約4,000mm)を支えるため方杖を使用した。 こうすることで梁成を小さくし、すっきりとした印象を与えられるようにした。

「なかのみち」

「なかのみち」

「なかのみち」の方杖と梁の取り合い

「なかのみち」の方杖と梁の取り合い

遊戯室と廊下の間仕切りは可動式でさまざまなイベントに対応できる

遊戯室と廊下の間仕切りは可動式でさまざまなイベントに対応できる

南側外観

南側外観

工事風景

工事風景

工事風景
工事風景
工事風景

東側立面

東側立面

南側立面

南側立面

設計情報

石岡市立やさと中央保育所

敷地面積:5,765.42㎡
建築面積:1,627.51㎡
延床面積:1,345.37㎡
1階:1,345.37㎡

階数:地上1階
主体構造:木造
杭・基礎:ベタ基礎

外部仕上げ

屋根:カラーガルバリウム鋼板立ハゼ勘合葺 t=0.4mm
外壁:珪藻土 一部桧板貼 木材保護塗装
開口部:アルミサッシ
外溝 園庭:針葉樹皮混入土系舗装

内部仕上げ

床: 複合フローリング貼
   一部ビニール床シート貼
壁: シナ合板貼 木材保護塗装
   一部珪藻土
天井: 岩綿吸音板貼